教師になるためには、まず数学や地理、国語といった「教科の教え方」を学びます。さらに、授業の流れをつくる方法、論理的な思考法を身につけさせる方法、授業に自主的に取り組ませる方法なども学ばなくてはなりません。しかし、何よりもまず学級運営がしっかりできなければ、教えるために身につけた知識、そのための労力はまったく無駄なものに終わってしまいます。一部の生徒の行動によって授業が妨げられるのは、教室にいる誰にとっても心地良いものではありません。

教育学部の学生は、将来の学級運営に備えてどんな準備ができるでしょうか。

効果的な学級運営のための5つの戦略

1. 生徒への期待を明確にすること

生徒に対して、行動と学業の両面で期待していることを明確な言葉で伝えることで、生徒の行動に有意義な結果が現れることが研究で明らかになっています。教室内で何が「許される行動」なのか、その基準が適切に理解できたなら、生徒たちは責任を持ってそれを守るようになるのです。生徒は説明されていないことを理解できません。なぜなら、生徒それぞれが家庭で期待されていることが、教室では適切な行動ではないことがあるからです。

2. 学級の目標について生徒と協力すること

新学期のはじめに、生徒と話し合う時間を持ちましょう。学級全員が楽しく学ぶための目標や、その目標を達成するための指針について、生徒たちとしっかりコミュニコーションを取りましょう。

グループディスカッションで話し合った学級のルールをリストにまとめて教室に掲示することでフォローアップします。そうすることで、生徒たちは自分たちがこのルール作りに協力したことを忘れず、真剣に受け止められていることを再確認できます。さらに、学級のルールを自分たちで守るという意識を強めるために、生徒一人ひとりが署名できる学級契約書のようなものを作成する方法もあります。

3. 生徒の社会的感情的な幸福に注目すること

学級の運営が学業成績や行動、生徒の意欲の向上に与える効果を検証した研究があります。それによれば、教師が生徒の社会性と感情の発達に焦点を当てた場合に、その成果が最も大きく向上することが示されています。

この結果は、教育界に大きな波紋を投げかけました。社会的感情的学習(SEL)を実施するために、教師は学習を支援する環境を整え、難しい授業内容の振り返りの時間を与えることができます。しかし、生徒の社会性と感情の成長を支援する最も効果的な方法は、生徒との良好な関係を築くことなのです。

教師は信じられないほど多忙です。そんな状況で教師が生徒一人ひとりと個人的な関係を築くことを期待するのは、 公平、あるいは可能なことなのでしょうか?次に、社会的感情的学習と学級運営の両方に有効な、生徒との関係を築く実践的な方法をいくつか検討します。

4. 生徒との関係を築くこと

これは教師がやるべきことの1つに過ぎないと思うかもしれません。しかし教師が生徒との関係を築くことは、生徒の学習パターンに波及効果をもたらします。ある研究では、問題行動を起こした生徒と教師がしっかりした関係を築くことができていた場合、そのような関係がない場合と比べて、行動が劇的に改善されたことが報告されています。

また教師が生徒としっかりと関係を築いている場合、行動面だけでなく学業面でも成果が上がっていることが研究で示されています。生徒が教師とのつながりを感じ、信頼できると思ったとき、自分も信頼される行動をとろうとするのです。

後編に続く)


この記事はVosaic.com内の記事「Strategies for Effective Classroom Management」を翻訳したものです(画像とも)。


Vosaicについて

Vosaicの安全なクラウドベースのビデオプラットフォームは、教師、現職教師、管理者が理論と実践のギャップを埋めるために使用されています。簡単な操作でビデオの録画、コメント、共有ができるため、ユーザーはより効果的に観察、指導、自己省察を行うことができます。
Vosaic日本国内総代理店の橘図書教材では、Vosaicの販売、および導入後のサポートを行なっております。また、授業力向上のための授業診断プログラムもご提供しております。ぜひお問い合わせください。

橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
共訳書スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
連 載スポーツパフォーマンス分析への招待(月刊トレーニング・ジャーナル/有限会社ブックハウス・エイチディ)

[ Provided by Vosaic ]