(前編から続く)
教師と生徒の関係を築くための4つの方法
1. 賞賛
生徒の悪い行動を指摘し続けるのではなく、行動が許容範囲であれば褒めるようにしましょう。生徒は自分が見られている、評価されていると感じ、その結果、ポジティブな行動を繰り返し、積極的に褒められるようとします。さらに他の生徒もそれに注目し、褒められる行動に積極的に追随する可能性が高くなります。
2. 生徒への問いかけ
教室でグループワークや勉強に夢中になっているときに、生徒と一対一で話をします。どのように学ぶのが最も効果的か、学級や学校での経験の中で何が好きかで何が嫌いか、どの科目が好きか、なぜ好きなのか、クラスで一緒に行動することが好きか、自分自身の目標は何か、そういったことを質問します。
こうした個々の生徒との会話によって信頼関係が築かれるのです。生徒と個別で基本的なことに関する会話が成立していれば、生徒は将来もっと自分のことを話したいと思うようになります。会話から得た情報は、生徒一人ひとりの授業体験の中に活かします。例えば、一部の生徒には先取り学習を奨励し、自分で学習したことをクラスで発表させます。また、生徒の興味に基づいた本を勧めたり、生徒が自分で最適だと考えている方法で学習する機会を与えたりもできます。
3. 自分の人生経験の共有
授業で教師自身の体験が話題になったときは、よい機会と考えて、自分からそれを話しましょう。これによって、生徒は教師のことを身近な現実の人間としてイメージできるでしょう。生徒たちの教師との間は近づき、もっといろんなことを教師と分かち合いたいと思うようになるでしょう。
4. 生徒と触れ合う時間
授業以外の時間も生徒と接することで、生徒との関係を築き、居心地の良さを感じさせることができます。休み時間に一緒に過ごしたり、昼食を生徒と一緒に食べたりするのは良い方法です。
自己省察の機会の設定
教師自身の自己省察は、良い学級運営のための最善の要素です。自己省察によって、教師は最も大事なことに注目し、自己満足を避け、より意図的に行動し、改善すべき領域を特定できるようになります。教師を目指す学生にとっては、就職後に上記の学級運営のスキルを適切に用いるための準備としても、自己反省を行っておく意義があります。
前述したスキルの多くは、卒業前の学生にとっても有効です。教育実習や学生指導の際に実践を中心とした課題を出し、その中で褒めたり、人生経験を共有したりするといったアクションを起こすことができます。例えばビデオに授業の様子を収録し、これらのアクションを実行した回数を記録して、その回数に応じて教師行動を評価し、フィードバックを行うという方法があります。
例えば模擬授業で、「登校初日」の学級の雰囲気を作ることで、また違った学級運営のテクニックを実践できます。教師は学級への期待を表明し、学級目標の設定について生徒と協力することもできるでしょう。
ビデオ分析のテクノロジーを採用することで、こうした教育実践活動を最も効果的に観察し、振り返ることができます。ビデオを使った振り返りによって、教育者は自分の授業を教師と生徒の両方の視点から観察できます。自分が教えている姿を実際に見ることができれば、無意識に行っている行動までも評価し、反省して修正できます。ビデオこそが、教育実践のあらゆる要素をそのまま評価できる唯一の方法です。
Vosaicの活用
Vosaicは、ビデオの特定の瞬間にコメントや省察を結びつける、理想的な環境を作り出します。学生は模擬授業のビデオ映像をマークアップし、先行研究によって定義されたルーブリック、または独自のアクションをタグ付けし、さらにコメントを追加して、改善点を明確にすることができます。
Vosaicのプラットフォームのユニークな点は、ある瞬間だけをマークするのではなく、時間幅を持ったタグが付けられることです。単なるコメント付きのブックマークではなく、クリップ全体をハイライトできるのです。つまり、大事な瞬間の映像を再生しながら振り返ることができるのです。
学級運営を偶然に任せてはいけません。教育学部の学生時代に準備しておけば、実際の現場に出ても対処できます。例えば、次のようなツールを使って練習しておくことができるでしょう。
- 生徒に対して期待していることを明確に表現する
- 生徒と共同で学級目標を設定する
- 生徒の社会的感情的幸福に注目する
- 生徒との関係を構築する
ビデオプラットフォーム「Vosaic」を使ってこれらの戦略を実行し、現職そして、就業前の教師の学級管理能力の成長を支援しましょう。
この記事はVosaic.com内の記事「Strategies for Effective Classroom Management」を翻訳したものです(画像とも)。
Vosaicについて
Vosaicの安全なクラウドベースのビデオプラットフォームは、教師、現職教師、管理者が理論と実践のギャップを埋めるために使用されています。簡単な操作でビデオの録画、コメント、共有ができるため、ユーザーはより効果的に観察、指導、自己省察を行うことができます。
Vosaic日本国内総代理店の橘図書教材では、Vosaicの販売、および導入後のサポートを行なっております。また、授業力向上のための授業診断プログラムもご提供しております。ぜひお問い合わせください。
橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
共訳書:スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
連 載:スポーツパフォーマンス分析への招待(月刊トレーニング・ジャーナル/有限会社ブックハウス・エイチディ)