限られたリソースをどこに投資するのが良いのでしょう？

教員の育成への投資が重要なことは明らかですが、限られたリソースの中でどのようにすればよいのでしょうか？

非効率な育成プログラムを廃止する

まず現状を把握し、効果のない育成プログラムを廃止しましょう。専門能力の開発プログラムは、すべてが同じように作られているわけではありません。適切な育成プログラムは大きな意味を持ちますが、多くの教員育成プログラムやリソースは、ほとんど、あるいは全く効果を発揮しません。それぞれの学区は、まず効果的な教育についての明確なビジョンを作成する必要があります。ビジョンと基準がなければ、どのような研修が効果的なのかを判断できません。ビジョンが確立されたら、現在の研修がそのビジョンと明確にリンクしているのかどうかを確かめ、そうでない取り組みは排除します。多くの教員は、現在受講しているトレーニングコースが役に立たないという不満を抱いています。多くのトレーニングコースは時代遅れで、魅力に欠け、教員が本当に関心を持ち、必要とする内容をカバーしていません。古くて効果のない教員育成に投資することは、貴重なリソースの浪費です。

効果的な専門能力開発を提供する上で、ほとんどの学区にとって重要な課題は、「画一的」なアプローチと「個別の教員ごと」のアプローチのバランスを取ることです。リソースが限られているため、「どこに投資すれば、教員の実践能力と生徒の学力に最大の改善をもたらすことができるのか」を精査する必要があります。効果が実証された専門能力開発のみを提供することは、すなわち学区が教員の時間を大切にしているという明確なメッセージでもあるのです。

教員のための協力的で知的な刺激に満ちた環境の構築

教員のための協力的で知的な刺激に満ちた環境を構築することで、学校はリソースを節約しながら、教員の能力を高め、学びの文化を創造することができます。

教員育成の最も効果的な形態の1つに、教員同士の教え合いがあります。同じ立場の仲間から学ぶことは、非常に効果的、かつ魅力的な方法です。学校ではこれを、教員のグループからなる「ラーニング・サークル」の設立という形で実践しています。教員は共通の特性によって区分され、一緒に問題を解決していきます。また、教員同士の学習がプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティ（PLC）やプロフェッショナル・ラーニング・ネットワーク（PLN）の構築という形で実現している学校もあります。教員が協力し、アイデアを共有するためのスペースを作ることによって、学校は専門能力開発のための追加の講師やイベントの必要量を減らすことができ、時間とお金の節約にもつながります。

コーチングを取り入れ、フィードバックのループを作る

目的を持ったコーチングを取り入れ、フィードバックのループを作ることは、成果を得るために非常に効果的です。McKinseyによると、「オープンでわかりやすい対面式のコーチングは、特定の授業実践に関する即時のフィードバックとアドバイスを提供する最も効果的な方法である」とされています。

コーチングは個々の教員それぞれのニーズに合わせてカスタマイズすることができ、フィードバックループのループによって、学習者がフィードバックに反応し、実践に調整を加え、必要に応じて繰り返す機会を作ることができます。この強力なプロセスは「パフォーマンス・ディスカバリー」として知られ、ビデオを導入することによってさらに効果的になります。

ビデオの導入によってリソースを節約し、結果を最大化する

コーチングやフィードバックの重要性は多くの人が理解していますが、ほとんどの学区では、コーチングのプログラムは法外なコストがかかるものと考えています。ビデオによるフィードバックとコーチングは、この貴重な時間と費用の節約につながるのです。ビデオフィードバックを使えば、管理職やコーチは授業に立ち会ってずっと見ている必要がありません。その代わりに、自分の都合の良い時間に自分のペースで視聴できます。これは時間の柔軟性と節約をもたらすだけでなく、コーチングを受ける教員自身がフィードバックを受けたい授業をアップロードするという「自主性」をもたらします。

教員をプロセスに組み込んだフィードバックループを導入することで、学校は自己省察に基づく成長プログラムを作ることができます。

必要なのは高価な新しい研修プログラムではなく、振り返りや具体的なフィードバック、自分自身の行動をその場で見るためのツールや機会なのです。

クラウドベースの安全なビデオプラットフォームであるVosaicは、教員や管理者が簡単にビデオをアップロードし、重要な瞬間をマークアップし、コメントを残し、安全にビデオを共有することを可能にします。ユーザーはより効果的に観察、指導、省察を行うことができます。またビデオを共有されたユーザーも、それらを無料で視聴し、マークアップし、注釈を付けることができます。教員は多角的な視点からの客観的なフィードバックを得ることができ、学区は経費を大きく削減することができます。

Vosaicは、コーチングやフィードバックの重要な瞬間を文字や静止画だけでなく、具体的な映像として見ることができるため、省察の効果が飛躍的に高まります。教員が自らの学機会を促進することで、学校はリソースを節約し、より効果的な能力開発を実現することができるのです。

最後に

教員の育成には確かに大きな投資が必要です。しかし正しく行えば、驚くほどのリターンを得ることができます。効果のない教育プログラムへの支出をなくし、教員主導の能力開発に投資することで、リソースを節約しつつ効果を上げることができます。ラーニングサークルやビデオベースのフィードバックを通じて、教員に自らの能力開発を推進する力を与え、意図的なコーチングを行うことで、自ら学ぶ文化を生み出し、課題を克服し、定着率を高め、そして生徒の学習成果を向上させることへとつながります。

この記事はVosaic.com内の記事「Investing in What Matters: Using Scarce Resources to Develop Schools’ Most Valuable Assets」を翻訳したものです（画像とも）。専門用語の翻訳の正確性については保証いたしかねますので、もし疑問がある場合は、原文をご参照ください。

Vosaicについて

Vosaicの安全なクラウドベースのビデオプラットフォームは、教師、現職教師、管理者が理論と実践のギャップを埋めるために使用されています。簡単な操作でビデオの録画、コメント、共有ができるため、ユーザーはより効果的に観察、指導、自己省察を行うことができます。
Vosaic日本国内総代理店の橘図書教材では、Vosaicの販売、および導入後のサポートを行なっております。また、授業力向上のための授業診断プログラムもご提供しております。ぜひお問い合わせください。

橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
共訳書：スポーツパフォーマンス分析入門（株式会社大修館書店）
連　載：スポーツパフォーマンス分析への招待（月刊トレーニング・ジャーナル／有限会社ブックハウス・エイチディ）