教師と生徒の有意義な関係を築く

指導者は生徒の学習と参加の状況を常に認識し、関与の度合を評価し、それを高めるように努力しなくてはなりません。推奨される方法の1つは、教師が授業以外のことでも生徒への興味を持つことです。生徒ひとりひとりの名前を覚え、関係を築き、趣味について質問すれば、生徒は自分が1人の人として評価されていると感じます。

その生徒が何を楽しんでいるのか、何に興味があるのか、それを教師がより深く理解すれば、授業をより魅力的で、生徒に身近なものにすることができます。授業中の話の中に著名人、スポーツ選手、ポップカルチャーの話などの親しみやすい話題を含めると、生徒の注意を惹き、関与を強めることができます。

生徒のことを良く知ることは、教師と生徒の関係を良好にし、互いの信頼を促進するだけでなく、積極的に、受け入れられていると感じながらアクティブラーニングに参加、関与できるようにします。「尊重すべき生徒のニーズを教師が見定め、それに応えれば、生徒の学校への愛着心と活動が増す。」(Chang 2012)。

授業へのテクノロジーの導入

生徒の興味を維持するためには、教師は変わり映えのしない授業計画を避けなくてはなりません。教材の配布方法を変えてみることで、授業にちょっとした驚きの要素が加わります。幸いにも、授業計画を斬新、かつ刺激的に感じさせられるテクノロジーが無限にあります。

授業計画にテクノロジーを活用するにはさまざまな方法がありますが、ビデオ、ゲーム、バーチャルツアー、シミュレーションなど、いくつかの推奨される方法があります。今の課題を関連する短いビデオで説明すれば、生徒はノートを取ることからの解放され、自分の意識を他のことに向けることができるようになります。ゲームを使うと、今後のテストやクイズをレビューする際の最適なリソースになります。また、バーチャルツアーやシミュレーションを使えば、授業内容をより効果的に説明できます。

課題を生徒に伝える方法が増えれば増えるほど、それを生徒が覚えている可能性が高まります。そのため、指導にテクノロジーの要素を追加することで、過去に教えたポイントをより覚えていられるようになり、生徒の意欲も維持することができます。

複雑な授業をストーリーとして提示

授業にストーリーを利用することは、さまざまなポイントを1つの物語として結び付ける効果的な方法です。こうしたストーリーによって、学生にとって授業内容を覚え、理解し、そして応用することがより容易になります。ストーリーを適切に活用すれば、生徒はより関心を持ち、自分のごと、自分に関係しているものとして捉えるようになります。

この関与の方法によって、多くの創造的な自由を可能になります。教師は教室で話すストーリーの内容と伝え方の両方について、幅広いバリエーションを持っているものです。ストーリーテリングで特に成功する実例は、感情を刺激することです。ひらめきを与えるために、教師は個人的な体験、歴史的なイベント、過去の学生の成功、創造的な例え話などを使うことができます。それはまた、生徒自身が自分の経験を話し、授業の中の情報と比べたりして理解できるようにもします。

シャンク氏とアブレソン氏は、人間の成長における主要な知識の源がストーリー(およびその表現方法)であると指摘しています。この調査結果は、ストーリーによって、情報が人間の短期記憶だけでなく、長期記憶にも保存するためにも役立つことを示しています。複数の細分化されたデータをリンクするストーリーは、脳内に占めるスペースを減らし、かつデータ間のリンクを作成して、より長く保持されるようにします。

プロジェクトとグループ活動の割り当て

生徒たちにプロジェクト、またはグループで作業する機会を与えることは、また違った効果的な学習支援の方法となります。生徒が関心のあるトピックを選択できるようにすると、生徒はより積極的に参加し、問題に取り組む傾向が強まります。

プロジェクト活動を行うと、生徒は授業で学習したことを個別の状況に適用し、日常のクラス作業では使わないスキルを開発することができます。プロジェクト活動によって、プレゼンテーションスキル、クリティカルシンキング、およびコラボレーション能力を伸ばす機会が得られます。

「 [P]eers は、その場に自分が属していると感じられる雰囲気を作り、クラスメイトや教師との関係を促進することで、学生の学術的な取り組みに貢献することができる。」(Woolley, Kol & Bowen, 2009)。グループアクティビティの機会を与えることで、生徒はコミュニケーションやアイデアの共有を通じて互いに教えあえるようになります。

またプロジェクトやグループ活動では、講義を聞いたりメモを取ったりする必要がなく、学生は新しい方法で情報を学ぶ機会を得ます。実際の問題や課題に関連したトピックは、生徒は目的意識を持ちます。

練習が完全を作る

教育のもう1つの重要な部分として、プレゼンテーションスキルとパフォーマンスを鍛え、向上することがあります。通常は教育をパフォーマンスアートと考えることはありませんが、教育を毎日行われるショーとして考えてみることが役立つ場合があります。すべてのショーと同じく、指導実践も魅力的で興味深いものでなければなりません。

コーチまたは管理者として、教師のパフォーマンスを調査し、生徒を魅了する新しい方法についてのフィードバックを与えることが重要です。指導評価や学習成果といった教育学的な側面に関する研究によれば、即時性の手がかりの重要性が示唆されています。即時性の手がかりとは、アイコンタクト、手のジェスチャー、部屋の中の動き、声のトーンなどといった、言葉以外の行動です。生徒はこうしたことを意識せずとも感じ取り、教師が自分に興味を持っているかどうかを無意識に判断するのです。

教師は授業に前述の関与方法を組み込むことができますが、即時性の手掛かりは文書として書かれているものではありません。教師が自分の非言語的な行動を改善する最善の方法は、注意深さと自己省察を実践することです。

ビデオ:関与の度合いをはかる最適な方法

教師に上記の実践を促す前に、指導担当教師は授業の初めに関与のレベルを観察し、測定しておく必要があります。この予備的な行動によって、個人レベルおよびクラスレベルでの学習に対して、新しい方法がどの程度影響するかを判断するための基準ができます。

ただし、授業における関与の度合を観察、測定するプロセスには、指導担当教師や管理者が必ずしも持っていない時間とリソースが必要になる場合があります。例えコーチや管理者がクラス内で授業観察を行っても、教室で起きていることすべてを観察することは困難です。記憶と不完全なメモのみに基づいてフィードバックを提供しようとすると、そのプロセスは主観的でバイアスがかかっている可能性があります。

「ビデオテクノロジーをうまく使えば、こうした障壁を克服し、観察やフィードバックのプロセスをより早く行うことができる。」と、ハーバード大学のベストフットフォワードプロジェクトは研究の後に報告しています。

ビデオは、指導担当教師、教師、管理者が学校内で仕事をする上での専門能力を開発するための有望なリソースです。授業時間内での評価とは異なり、ビデオを使えば教師の指導実践の具体的な証拠が示され、必要に応じてそれを複数回確認できます。ですから、指導担当教師が教師の授業について振り返りを行い、教室での関与のレベルを診断することが容易になります。ビデオを活用することで、指導担当教師は関与の度合を評価する際、教師に重要な指標を示すことができます。

フィードバックおよび自己省察のリソースとしてのVosaic

ビデオだけでも関与の度合の測定と改善を始めることはできますが、Vosaic のようなプラットフォームを使用すると、そのプロセスを合理化できます。Vosaicは、ビデオの録画、アップロード、注釈の追加、そして共有を可能にするクラウドベースのビデオプラットフォームです。Vosaicは、個々の教師や学校のニーズに合わせて、柔軟にカスタマイズできます。それこそが、世界中の多くの指導担当教師や管理者が既にVosaicを使用して、教師のより魅力的な教室づくりを支援している理由なのです。授業研究・授業評価を通じて教師を支援し、生徒の授業への関与を改善したいとお考えでしたら、Vosaicに連絡して、ビデオの活用がどのように役立つかを確認するための短いデモをスケジュールしてください。

この記事は、vosaic.comのブログ「Creating a More Engaged Classroom」を翻訳したものです(画像とも)。


Vosaicについて
Vosaicはアメリカ・ネブラスカ州リンカーンに本社を置くFACTSが展開する、教師教育、医療教育、指導者育成、専門能力開発のためのビデオプラットフォームです。数多くの教育機関、学区、医療機関、ビジネスコーチング会社等に採用され、授業研究・授業評価やシミュレーショントレーニングなどのフィードバック、省察など、専門能力の開発のために用いられています。

橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
共訳書スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
連 載スポーツパフォーマンス分析への招待(月刊トレーニング・ジャーナル/有限会社ブックハウス・エイチディ)

[ Provided by Vosaic ]