この記事はvosaic.comの記事「Experiencing COVID-19 as a Student」を翻訳したものです(画像とも)。

Carlyn Bretey氏(ネブラスカ大学リンカーン校)

それが大学2年生の対面授業の最後になるなんて、そのときは思ってもみませんでした。マネジメント301の木曜日の午後、教室の中をあるささやきが駆け巡ったのです。「メールを見て、信じられないわよ!」クラスメイトがそう急き立ててきました。そこにあったのは学長からのメッセージで、残りの期間、私たちの授業はすべてオンラインになるとありました。

多くの大学が、COVID-19に対応して既にそんなブリーフィングを行っていると聞いていたので、心構えはできていました。けれども、その知らせは私たちの予想を超えていました。このパンデミックに対して、UNL(ネブラスカ大学リンカーン校)はもっと穏やかに対処するだろうと予想していたのです。その考えは、発表の直前、ある学生が私にこう話しかけてきた時に消え去りました。「UNLはほかの学校の動向を見て、最後にこんな思い切った声明を出したんだと思うの。」すぐに彼女の言うことが正しいとわかりました。

COVID-19のパンデミックの結果、私はネブラスカ州リンカーンの女子学生寮から、アイオワ州ルマーズの農園へと引っ越しました。私は両親と弟のため、他の50人の若い女性と一緒に生活することにしたのです。オンラインで授業とインターンシップの両方を行うようになったので、気持ちの切り替えに苦労します。今、私は直接顔を合わせたことのないインターンシップのチームで働いています。毎日、Zoomの会議が頻繁に行われます。学校や仕事の会議がすべて終わってから、さらに社会的なミーティングにも出席するのは精神的にきついことです。オンライン会議では、対面の会議のような実質的なつながりはありません。

秋学期が始まるのを慎重に待っています。私は学生ティーチング・アシスタントとして、ただ朗読したり、学生との1対1のコーチングセッションを行ったりするのは、実際のところ避けたいと思っています。けれども、健康が第一であることも理解しています。

そのニュースが流れたときの先輩たちの反応は少し違っていました。UNLの学生であり、Vosaicの従業員でもあるMaddy Siroisは、悲しみ、不安、そして罪悪感を漏らしています。「私にとっては、単に授業がオンラインになっただけじゃないわ。当たり前の卒業式ができないってことは、次いつ会えるかもわからない友人にお別れも言えないのよ。」
大学院への進学や就職活動が保留になった不安から言い争っている学生たちの様子を見るのも、辛いことです。

しかし、私は自分の感情に冷静に対処しようと決めました。幸い私の家族は健康だし、私にはまだ仕事があるし、私は良い成績で学期を終えることができました。COVID-19に関する私の経験は、他の人ほど不幸ではありません。なので、私の悲しみと後悔は不当な気もしますし、罪悪感のようなものも感じます。

COVID-19の影響に関する研究

米国のあらゆる大学は実質的に物理的なドア(対面授業)を閉め、代わりに仮想上のドア(オンライン授業)を開きました。この変化によって、学生は次のようなさまざまな影響を受けています。

  • 教育機関の中には合格/不合格の採点システムに移行したところもありますが、この問題について学生たちには発言権がありません。
  • 学業成績は最優先ではないこの時期でも、レターグレード(成績評価)のためのコースを受講している学生もいます。
  • オンラインに十分に対応できない科目や実習については、追加の学期を設けたり、借入金を増やさざるを得ない状況になっています。
  • キャンパス内でアルバイトに生活を依存していた学生には、もはやそのすべがありません。

大学施設の閉鎖によって、学生寮で生活していた学生たちは大きな不安を抱えています。多くの若い大人は即座に避難することを余儀なくされ、ごく短期間の猶予しか与えられなかった。留学生に至っては、帰国禁止を命じられている上に、帰国のためのお金さえもないという有り様です。未利用期間の寮費の払い戻しに応じた大学もありますが、ほとんどの大学はそうではありません。

パンデミック以前に行われた調査でも、80%の学生が1つまたはそれ以上の理由で、ストレスを感じていると答えていました。一連の電子メールが学生たちのすべてを引き裂いた今、その数値は確実に上昇しています。

アイオワ州北西部からやってきた1人の20歳の学生として、私は自分の苦労を劇的に表現することはできません。平均的な影響を受けた学生としての視点から話しています。しかし、情報の関連性と生産性を維持しながらも、一刻も早く学生の実情を調査しなくてはなりません。マーケティングコミュニケーション会社のカーネギー・ダートレット社は、COVID-19を受けて、いくつかの極めて深刻なデータを発表しました。

このレポートには衝撃的な統計結果が記されています。大学がCOVID-19に関して信頼できる情報を提供していると信じている学生は 4人に1人だけです。5人のうち4人の学生が、かなりの抜本的な人生設計の変更を行う必要があると述べています。大多数の学生はオンライン授業を快適と感じていません。全面的にオンラインシステムを利用した学習に対するこの不快感は、大学の教員にとっても当てはまるのかもしれません。

さらに、このパンデミックの下、どのような状況になっても秋学期の履修を諦めないと答えたのは全学生の50%にすぎません。既に多くの人がこの大きな生活の変化から回復しようとしていますが、この秋に来るであろうパンデミックへの安全な解決策がなければ、通常の教育への復帰がさらに延期される可能性は少なくないという識者もいます。「私は自宅から約500マイル離れた大学に通っています。」1 人の学生は続けて言います。「春休みに自宅に戻るというような、予定外の変更は簡単にはできません。いきなり秋学期が始まって、突然戻らなくてはいけなくなったらという心配もあります。しかもその秋学期が対面ではなくて、バーチャルだったとしたら。とにかく、切実に学校に戻りたいのです。」

後編に続く)


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