今回はVosaicのブログから、医療シミュレーショントレーニングでのビデオ活用について書かれた記事を引用しながら、そのポイントをご紹介します。

以下の記述はブログ「医療シミュレーションにおけるビデオ活用:貴重なデータを収集するための費用対効果の高い戦略」を参考にしています。詳細な内容はリンク先の記事をお読みください。


ここで紹介されているのはアメリカ・カリフォルニア州にあるHMO(健康維持機構)のカイザー・パーマネンテで、南カリフォルニア地域の15の医療センターのシミュレーション教育をカバーしています。そこでは、より効果的で客観的な報告のためにビデオ録画、そしてデータの収集のためのツールが利用されています。

特に観察しているのは看護師と医師の間の行動と会話で、中でも次の3つのポイントです。

  • どの程度物事を上手に伝えられているか
  • 提供された指示は明確であったか
  • 指示が確認されたか

このポイントを後で振り返るための評価基準の一つに「SBAR」(エスバー)が使われています。

SBARとはSituation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案)の4つの単語の頭文字を取ったもので、元は米国海軍の潜水艦で重要な情報を艦長に迅速に提供するために考えられたコミュニケーションのためのツールなのだそうです。1)


以前、「産科救急医療」の講習会の中でシミュレーショントレーニングの撮影と振り返りをお手伝いしたことがあります。その中でもやはり「SBAR」は大事なポイントの1つとなっていました。

vosaicフォーム(チームステップス)
(Vosaicのフォームの例 – 本文とは関係ありません)

直後のデブリーフィング(振り返り)の中でビデオを使ったリプレーを行うだけで、例えば必要な指示が伝わっていない、自分ではやっていた「つもり」のことが見直してみるとできていない、そういったことが納得できます。こうしたフィードバックをできるだけ早く、効率よく行うためには、収録・再生と「振り返りポイントの特定」が適切にできるツールがあれば便利です。


医療システムも制度も大きく違うアメリカの例は、日本ではそのまま受け入れられにくいのかもしれませんが、少なくとも医療安全に関する継続的な研修の重要性はどこの国でも変わりません。そのための有効な手段がシミュレーショントレーニングなら、その効果を最大限にするために振り返りのためのツールは必要になってくると私は思っています。

Vosaicは特別な機材・機器を必要とせず、最低限、iPadとコンピューター、もしくはウェブカメラとコンピューターだけがあればそのサポートができるシステムです。初期投資も安く抑えられるという点も、私たちが選択した理由です。

1) 実践シミュレーション教育−−医学教育における原理と応用,メディカル・サイエンス・インターナショナル,p172

(橘 肇/橘図書教材


Vosaicについて
Vosaicはアメリカ・ネブラスカ州リンカーンに本社を置くFACTSが展開する、教師教育、医療教育、指導者育成、専門能力開発のためのビデオプラットフォームです。数多くの教育機関、学区、医療機関、ビジネスコーチング会社等に採用され、模擬授業やシミュレーショントレーニングなどのフィードバック、省察など、専門能力の開発のために用いられています。

橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
共訳書スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
連 載スポーツパフォーマンス分析への招待(月刊トレーニング・ジャーナル/有限会社ブックハウス・エイチディ)

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