学習内容の習得や理解の程度が、授業へのエンゲージメント（関与）のレベルと密接に関わっていることは、教育関係者なら周知のことでしょう。授業への関与のレベルが高くなればなるほど、学習内容への理解のレベルも高くなります。

教師が生徒の授業への関与のレベルを高めようとする上で、指導教諭が重要な役割を果たすことができます。指導教諭は関与のレベルを観察して評価し、改善のための有意義な提案を行わなくてはなりません。

授業への関与の評価

指導教諭として教師の実践能力の改善に取り組む前に、その教師の現在のパフォーマンスレベルを授業分析によって評価しておくべきです。また、どのくらい生徒たちの意欲を維持できているかということも含めて、教師の指導のすべての面における長所と短所についても理解しておくべきです。またこうしたスキルに基づいて教師を評価するだけでなく、どうすればそれが改善できるかを伝えることも重要です。

教育分野のリーダーであるフィル・シュレッティは、教育の課題への対処についての研究で有名です。彼は「Engaging Students Book」（2002年）において、学生の関与について5つのレベルを定義しました。このレベル分けは、教師が特定の個人やグループの関与を高める上で役に立ちました。すべての生徒は、これらのカテゴリの少なくとも1つに分類することができ、さらにほとんどの生徒は複数のカテゴリに属しています。

生徒の関与に関する5つのレベルは次の通りです。

• 真のエンゲージメント – 生徒は与えられた課題のテーマに価値や意味、個人的な関心を見いだしているので、それに没頭し、非常に興味を抱いている状態。
• 戦略的コンプライアンス – 生徒は提示された授業に意味や価値を見いだしていませんが、評定や高いGPAなどといった、注意を払って参加しておくべき外的理由に動機づけられている状態。
• 儀式の遵守 – 生徒は提示されたテーマの重要性や価値を認識していませんが、宿題を済ませるために残されるといった、関与しなかったことで生じる悪影響を避けるために参加している状態。
• 後退主義 – 生徒は授業に興味がなく、注意を払おうともしていないが、妨害やクラスメートの邪魔をしたりはしない状態。
• 反逆 – 生徒は課題を行ったり注意を払ったりすることを一切拒否し、授業を妨害し、別行動をしようとする状態。

個々の生徒とクラス全体の関与のレベルを全体として分類しておけば、指導に関するコーチングの方法を導くことができます。教室全体の関与にラベル付けをするため、 シュレッティは次の3つのカテゴリを示しています。

• 積極的に関与している授業 – ほとんどの授業時間において、生徒が興味を保ち、参加し、関与している。関与の程度は比較的高い。戦略的コンプライアンスや後退主義はほとんどなく、反逆もない。
• 従順な授業 – 関心を持っている生徒と持っていない生徒が均等に分かれている。後退主義は多く存在しているが、反逆はほとんどない。
• オフタスク授業 – 生徒は自分自身で学習に取り組んでおり、このカテゴリーの関与にはすべてのレベルの側面がある。後退主義と反逆は一部の生徒に非常に顕著であり、教師の時間のほとんどは、学習に取り組んでいない生徒の支援に費やされる。

これらのカテゴリー分けをすることによって、クラスの中に存在している関与の種類、また問題の所在とその解決のために実践できる戦略について、教師に伝えることができます。もちろん、生徒の参加を促すためのヒントやコツは十分にあります。幸いにも、ここでは授業への関与を高めるための共通した提案が示されています。以下にその要旨をまとめます。

（次回に続く）

この記事は、vosaic.comのブログ「Creating a More Engaged Classroom」を翻訳したものです（画像とも）。

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