この記事はVosaic.comの記事「Why is Measuring Student Talk Important?」を元に、日本国内の事情等に合わせて編集したものです。(画像とも)。


生徒たちの授業との関わり方、活動の状況をどうすれば評価できるでしょうか?生徒の授業中の学習意欲は、読み解くのが難しい指標です。生徒の教材に対する取り組み方にはまだ不明な点が非常に多いのですが、研究によれば、コミュニケーション、思考、そして学習の間には関係があることが認められています。

発話と思考は、見た目以上に多くの点で関連しているのです。ある概念を口頭で伝えると(例えば、誰かに対して説明すると)、それが頭の中で定着したように感じられるのには理由があります。それは教室にいる生徒たちにとっても同じことです。

これは新しい考え方ではなく、何十年も前から「教室での発話」が学習に与える影響について研究されてきました。実際、生徒が授業で議論に参加していることは、健全な授業の証です。生徒が授業での議論により参加するようになれば、成果の向上に直結し、より早く、より効果的に学習できることは言うまでもありません。授業で議論に割く時間が増えれば増えるほど、試験の点数が上がり、論文試験の成績も改善されるという正の相関関係があることが研究によって分かっています

しかし、授業中の発言で教師の発言は実に89%を占めており、実際のところ、生徒が発言する機会、あるいは発言したいと思う機会はあまり多くありません。

教師の発話時間とは?

「教師の発話時間」とは、授業中の生徒の発話時間に対して、教師の発話時間の割合のことです。教師の発話時間と「生徒の発話時間」は、生徒の理解度向上のための重要な指標となりえます。

調査結果によれば、個々の生徒の発話時間が、試験の点数といった成果と正の相関があることを示唆しています。しかし、話しやすい教室では誰もが恩恵を受けられます。グループディスカッションが行われている授業では、無口な生徒も、よく話す生徒も共に学習成果を上げることができるのです。

上:Vosaicの活用で、ビデオベースのフィードバック、省察、教師へのコーチングを促進できます

教師の発話時間を大幅に減らすのではなく、生徒の発話時間を増やすにはどうしたらよいでしょうか。次のような取り組みにより、教室で生徒が積極的に言葉を発している時間の割合を増やすことができます

生徒の授業中の発言を促す6つの方法

授業中に自分の考えを発言させる最も簡単な方法は、アイデアや質問を問う機会を作ることです。しかし、発言の質が重要であることを忘れないでください。目標は、生徒の思考プロセスやアイデアを引き出すことであり、単に言われたことを繰り返させることではありません。

1. 発言内容を深める質問を頻繁に行う

質問に対する生徒の答えを訂正したり肯定したりするのではなく、生徒の発言に対して、さらに明確にしたり、詳しく説明したりするように促すのです。その生徒の答えが間違っていても、別の生徒に正しい答えを求めたい衝動を抑えてください。生徒がどうしてその結論に至ったかを尋ねるのです。質問を単純化して、生徒の思考過程を狭めるようなことはしないでください。

正解した生徒にも、同じことが言えます。どのようにしてその正解にたどり着いたのか、詳しく説明する機会を与えてください。そうすることで、その生徒自身やクラスメートの学習プロセスをより確かなものにすることができます。「どうしてわかったの?」と尋ねたり、教室の他の生徒たちに向かって、同意するか、反対するか、補足することがあるかと尋ねることで、さらに学習を深めることができます。

2. 自分の教室の発話率を把握する

教室でのコミュニケーションについての自分の立ち位置を知るだけで、教師の発話時間を減らし、生徒の発話時間を改善するきっかけになります。教師が授業中の自分の発話の状況を把握できれば、改善のための目標も立てやすくなります。

多くの教師は、単に講義の音声記録を作成するだけで、自分の発話状況を解明しようとします。しかし、録音した音声から実際に有用な情報を抽出する作業は、時間がかかり、しかも具体的ではない場合があります。

その代わりに、授業での全ての会話を録音するソフトウェアを使用することで、データ収集のプロセスを簡素化し、文脈に沿って理解することができます。ビデオ分析とコーチングのためのプラットフォームであるVosaicは、発話分析を即座に自動化できます。Vosaicは、ビデオファイルやオーディオファイルに含まれる10人の話者を自動的に区別し、それぞれがどのくらい話しているのか、その内訳を総時間と割合の両方で表示します。

これは、教師と生徒の発話の割合を知るだけでなく、授業中の議論で個々の生徒がどれくらい話しているか(または話していないか)をすばやく確認する素晴らしい方法です。また、このデータを知ることで、最も頻繁に指名されている生徒が誰かを明らかにすることもできます。

後編に続く)

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Vosaicの安全なクラウドベースのビデオプラットフォームは、教師、現職教師、管理者が理論と実践のギャップを埋めるために使用されています。簡単な操作でビデオの録画、コメント、共有ができるため、ユーザーはより効果的に観察、指導、自己省察を行うことができます。
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橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
分担翻訳スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
著  書:スポーツパフォーマンス分析への招待(有限会社ブックハウス・エイチディ)

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