この記事はVosaic.comの記事「Tech is Transforming Teacher Coaching – Succeed with a Different Data Approach」を翻訳したものです(画像とも)。


授業における「テクノロジー」と聞いて何を思い浮かべるでしょう?ハイブリッド学習に使うテクノロジーを思い浮かべる人もいれば、生徒の共同作業のためのツールや、校舎のセキュリティのための機器を思い受かべる人もいるでしょう。

これらすべて、間違いなく教育を支えるテクノロジーです。しかし、プログラム、デバイス、アプリケーションなどの新しいテクノロジーがどんなに優れていたとしても、それらは生徒の学習活動の中心ではありません。質の高い学習の源は、教師なのです。

教師は学外での生徒の環境をコントロールすることはできません。しかし、生徒のモチベーション、取り組む姿勢、知識の獲得、さらに社会性の成長に影響を与え、学習成果を向上させ、生涯にわたる生活の礎を築かせることができる存在です。

だからといって、学校にテクノロジーは必要ない、教師の勤務時間をもっと増やしさえすればいいというのは、根本的に間違った考え方です。具体的ではないアドバイスや新しい指導法は、役に立たないだけでなく、時間の無駄にしかすぎません。

校長として自問してみてください。あなたの学校で、教師の成長を支援するためのテクノロジーの導入を検討したことはあったでしょうか。データ主導の今の時代には、科学に裏付けられた教育テクノロジーで教師を支援することが不可欠です。それは教師の仕事に対する満足度を高め、離職率を減らし、学生の学習成果を向上させることにつながるのです。

教師の自己学習を成功させるための鍵「R.O.A.D.」

教師のスキルを向上させる過程には、周囲のサポート、そして導入したテクノロジーが大きな影響をもたらします。映像に基づく分析とフィードバックは、教師の成功への道をサポートします。それをわかりやすく表現するために、私たちはこの略語を作りました。

R – Record(記録)

従来の授業観察には不十分な点があります。記憶と紙の診断票だけに頼った観察では、偏見が生じ、細部を省いた単純化した記憶のみが残りがちです。ビデオによる録画は、今行われていることを正確に把握できるので、スキル向上への第一歩となります。授業中に起きたことの記憶が曖昧になったとしても、映像を見直せば一目瞭然です。教師の授業観察において、映像は唯一にして最大の取り組みと言ってもいいでしょう。

ここで注意すべきことは、録画の方法はあくまでもシンプルであるべきだということです。学校側の責任として、教師が扱いやすい録画方法を見つけてください。何も特別な機器を追加で購入する必要はありません。スマートフォン、またはすでにお持ちのウェブカメラを使用するとうまくいきます。録画する時間も、授業の始めの5分ないし10分もあれば十分です。後で分析を行うのにも、負担にはならない時間です。

O – Observation(観察)

成長を妨げる大きな要素の1つが「慣れ」、つまり繰り返し行う行動に対して鈍感になってしまうことです。私たちは誰もが、日常生活の中でこの慣れを経験します。職場を出て、車のキーを入れ、駐車場から左折するためにウインカーを出してから、どうやって家にたどり着いたのか全く覚えていない、そんな経験はありませんか。途中で制限速度を超えていませんでしたか?信号に気づかなかったことはありませんか?

これは授業でも同じです。慣れによって脳のスペースが解放され、「次の授業の計画はどうだっただろう」とか、「スージーの両親に忘れずに連絡しないと」といった、他の大事なことを考えられるようになります。しかし、これが危険な場合もあるのです。

ある行動について鈍感になっているということは、その行動をかなり快適に感じ、おそらく適切に実行できていることを意味します(例えば運転など)。しかし、感覚が鈍化すると、進化する機会(目的地までより速く、より良い景色を見ながら到着できる新しいルートの発見)や、生徒の非言語的フィードバックに対応する機会(自分の車線に合流させること)もすべて逃してしまいます。。

教師は、慣れという問題に加えて、指導に関する基本的な業務や、最近のセミナーで教わった内容にも気を配らなくてはなりません。そうした忙しさの中で、自分の長所と短所が何なのかさえ気づいていないかもしれません。ビデオを使って自分の実践を見返すと、何がうまくいっているのか、どこに努力が必要なのかが明確にわかります。誤った記憶や観察の誤りに起因する偏見をなくすことができます。教室で起きていることを別の視点から見ることができ、慣れと習慣の中で見逃していたものを発見できます。例えば、授業中の教師と生徒の会話の時間のバランスがどうだったかと悩む必要はありません。ビデオを見れば一目瞭然です。

こうして、自己の実践についての「明確な全体像」を掴むことによって、成長の扉が開かれるのです。しかし教師は多くの場合、こうした新しい取り組みに不安を感じます。自分自身の長所短所すべてを明確に見ると、乗り越えるべき精神的なハードルがいくつか生じます。しかし、自己の改善を視覚的に確認することは、信じられないほどのモチベーションにもなるのです。教師は自分のペースでビデオを録画、視聴、再視聴し、さらに同僚やコーチと共有することもできるのです。

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Vosaicの安全なクラウドベースのビデオプラットフォームは、教師、現職教師、管理者が理論と実践のギャップを埋めるために使用されています。簡単な操作でビデオの録画、コメント、共有ができるため、ユーザーはより効果的に観察、指導、自己省察を行うことができます。
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日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
分担翻訳スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
著  書:スポーツパフォーマンス分析への招待(有限会社ブックハウス・エイチディ)

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