看護教育とフィードバック
近年、医療現場におけるコミュニケーションの重要性が強調されています。私はこれまで、パフォーマンス分析の導入をさまざまな分野で進めてきました。その中でも、とりわけ映像での振り返りの効果が高いと感じた分野の一つが、コミュニケーションの重要性が高い医療教育、とりわけ看護教育なのです。
看護教育では問診、臨床でのさまざまな技術的対応、ベッドサイドマナー、そしてチームで動く場合のチームワークやリーダーシップ、フォロワーシップなど、さまざまな手順と、そして実践を学ばなくてはなりません。さらに、1つのミスが生死に関わるというプレッシャーも加わります。
看護学校や看護学部の学生の実習の際、行うべき手順がきちんとできているか、また適切なタイミングで適切な言葉のやりとりができているか、その振り返りから多くのことを学ぶことができます。しかし多くの場合、教員が目視だけに頼っていると、個々の学生に対して具体的なフィードバックを返すことは難しくなります。
ピアフィードバックの活用
こうした問題の解消のため、実習中にビデオを撮影している先生方にもこれまでお会いしてきましたし、過去にビデオ分析ソフトウェアをご導入いただいたこともありました。しかしソフトウェアの様々な制約から、教員自身が操作せざるを得なかったり、学生が視聴することが難しいといったことがあり、いつしか使われなくなっていったことは販売した側としても忸怩たるものがありました。
実際にフィードバックを効果的に進めるためには、教員が1人で評価をするだけではなく、学生たちに相互に評価(ピアフィードバック)を行わせることも効果的です。看護研究室でビデオ・ピアレビューを利用した研究では、「(生徒に)自信を持たせ、誇りを与えた」という結論が述べられています(Rowanの論文)。
医療従事者の教育、看護教育の環境にまさに適したビデオ分析ソフトが、Vosaicなのです。
看護教育に適したVosaicの機能
Vosaicは、iPadが1台あれば収録しながら評価の入力(マークアップ)ができ、クラウド型でいつでも、どこからでも収録したビデオが見られ、そして、学生たちそれぞれに評価や改善のポイントを入力させることができます(しかも、人数無制限です)。
例えば、SBARに基づいた状況報告ができているのか、またTeamSTEPPSのようなコミュニケーションのツールが上手く活用できているのか、実習の目的に合わせ、柔軟に利用することができます。
学生は自分自身の実践中の行動を見て、どこが改善できるのか、自ら学ぶ機会を持つことができます。そして重要なシーンの目印(モーメント)には、教員がコメントを入れて示唆を与えることができます。
Vosaicをお勧めすることで、医療従事者のコミュニケーションスキルの向上、看護教育の未来に些かでも貢献できれば幸いです。
この記事はVosaic.jp内の記事「看護学校でのビデオによるパフォーマンス分析とピアフィードバック」を参考に執筆したものです(画像とも)。
(橘 肇/Vosaic国内総代理店 橘図書教材)
橘図書教材について
日本のスポーツ界へのパフォーマンス分析システムの普及に20年間努めてきた代表者が、2019年に設立しました。スポーツを超えた幅広い分野の教育にもビデオコーチングを普及して貢献すべく、Vosaicの日本国内総代理店として販売とサポートを展開しています。
共訳書:スポーツパフォーマンス分析入門(株式会社大修館書店)
連 載:スポーツパフォーマンス分析への招待(月刊トレーニング・ジャーナル/有限会社ブックハウス・エイチディ)